アップルが昨日発表した新型iPhone、iPhone 15シリーズ。
国内ではiPhone 15/15 Plusが一律5千円、Proシリーズが一律の価格アップとなりましたが、ここ1年でのインフレおよび円安の動きを勘案すれば、かなり良心的な価格設定といった印象を受けた方も多いのではないでしょうか。
そんなiPhoneの価格について興味深い考察がありました。
iPhoneの実質価格は実は下がっている
以下はPerfectRecという海外サイトが過去のiPhoneの価格推移をまとめ、グラフにしたもので、最初のグラフはiPhoneの名目価格の推移。
初代iPhoneは少し「安すぎ」なのでここでは無視するとして、2008年のiPhone 3Gから2023年のiPhone 15では名目価格が3割強上昇しているのが分かります。
一方、以下はインフレ率を勘案した実質価格の推移。
まず、ベースモデルを見てみると、過去数年間で実質価格も上昇した時期もありますが、iPhone 3GとiPhone 15を比べると、iPhone 15の方が安くなっているのが分かります。
つまり、実質価格ベースではiPhoneのベースモデルの価格は過去15年間で値下がりしている、ということに。
また比較的新しいProシリーズも同様で、Pro Maxにおいては名目上の価格は据え置きで、実質価格は2割以上も下がっている、という結果に。
それだけ米国のインフレ率が高い、とも言えるのですが、iPhoneの米国での実質価格が実際には下がっている、というのはかなり意外ではないでしょうか。
日本でのiPhoneの価格推移は?
一方、少し前までデフレに苦しんでいた日本ではどうなのでしょう?
国内では初期のiPhoneはキャリアのみが取り扱っており、この際の価格は参考になりません。
が、国内でSIMフリー版(直販モデル)として初めて2015年にリリースされたiPhone 6と今回のiPhone 15のベースモデルの価格を見てみると:
iPhone 6 16GB:73,224円(8%消費税込み)
iPhone 15 128GB:124,800円(10%消費税込み)
名目上の価格だけを見るとかなり値上がりしているように見えます。
しかし、2015年→2023年では以下のような変化がありました:
- 消費税が2%アップし8%→10%に
- ドル円の為替レートが121円前後から147円前後に(約21%の円安)
- 消費者物価指数は2016→2023年で約7.5%上昇
ただ、これらのマクロ的な変化を考慮して、iPhone 6の価格を現在の価格に換算しても10万円程度。
よって、日本でのiPhoneは「実質」価格でも過去7年で2~3割アップしていることは間違いなさそうです。